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食品の包装には、様々な栄養表示が記載されています。糖尿病患者さんが注意すべき食品の表示について、東京女子医科大学糖尿病センター中神朋子先生にご解説頂きます。

2015 年4 月1日から「食品表示法」が施行されました。それ以前の食品表示は、「食品衛生法」、「JAS 法」、「健康増進法」に基づいて表示されてきましたが、複雑でわかりにくいことから、「食品表示基準」として1 本化されました。従来、栄養成分の表示は企業に任せられていましたが、新しい法律では全ての加工食品と添加物の表示が義務化されることになりました。
新しい法律には猶予期間が設けられており、加工食品と添加物は5 年間、生鮮食品は1年6ヵ月の間に、食品の表示変更を行うことになっています。食品を購入する際には、表示法の移行期間中であることを考慮して、表示を見ていきましょう。
参考:消費者庁 食品表示法の概要
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/130621_gaiyo.pdf

 

1.栄養成分表示

食品は、外観からだけではどのような栄養成分が、どれだけ含まれているかわかりません。そこで、栄養成分表示として、熱量(エネルギー)、タンパク質、脂質、炭水化物、食塩相当量(ナトリウム)の表示が義務付けられました。その他、表示したい成分が任意で表示されています。食品100g(mL)当たり、1包装当たりなど、単位当たりに含まれている量が表示されています。

 

<食塩相当量>

栄養成分のうち食塩相当量は、以前のナトリウム量の表示から、食塩摂取量の目安(日本人の食事摂取基準2015 年版における目標量:1日男性8.0g未満、女性1日7.0g未満)として表示されるようになりました。糖尿病腎症や高血圧の気になる方は減塩の目安に活用できます。なお、食塩を添加していない食品では、「ナトリウム○mg(食塩相当量○g)」の表示となっています。

 

<飽和脂肪酸と食物繊維>

飽和脂肪酸と食物繊維は、表示することが推奨されている栄養成分です。飽和脂肪酸は動物性脂肪の多い食品に多く含まれ、中性脂肪やコレステロールを増やし、動脈硬化など生活習慣病のリスクを高めると考えられています。肥満や動脈硬化の気になる方は、注意して見てみましょう。
一方、食物繊維は食後の急激な血糖上昇を抑えたり、便通を改善する効果があります。水溶性食物繊維は血中コレステロールの上昇を防ぐ作用もあり、積極的に摂りたい成分です。

 

 

2.「ゼロ○○」、「○○ライト」などの表示

食品表示基準では、誇大な表示にならないように基準が設けられました(表1)。「無」、「ゼロ」、「ノン」などは「含まない」を意味する表示ですが、基準値未満であれば表示をしてもよいことになっているため、微量に入っている可能性があることに気を付けなければいけません。また、「ライト」「ひかえめ」などは「低い」を意味する表示で、基準値以下であることを表わしています。
「甘さひかえめ」、「うす塩味」などは、味覚に関する表現であり、含まれている量とは関係ない場合があるので注意が必要です。

 

<砂糖不使用>でも安心しない

「砂糖不使用」は、砂糖は原料として使用されていないことを示します。しかし、甘味料として、果糖や麦芽糖、乳糖など砂糖以外の糖類が使用されていることがあります。よく使われている甘味料には、糖アルコールと呼ばれる、還元麦芽糖(還元水飴)、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マンニトールなどがあります。糖アルコールは、カロリーが砂糖よりも低く、吸収されにくいので急激な血糖上昇が抑えられますが、多量に摂ると、一時的に下痢になることがあるので注意しましょう。
また、甘味料には、人工的に作られたアスパルテーム、スクラロース、サッカリンなどもあります。人工甘味料はカロリーがゼロで砂糖の500倍の甘みがあるため、どうしても甘みが欲しい場合は少量であれば摂ってもよいですよ、とお話しすることもありました。しかし近年、人工甘味料の摂取により腸内細菌のバランスが乱れ、糖代謝異常をきたすという報告があり、やはり摂り過ぎには注意が必要です。

 

3.機能性を表示できる食品の登場

体に対する機能性(健康の維持及び増進に役立つ)の表示ができる食品には特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品の3種類があります(表2)。表示されている「1日当たりの摂取目安量」や「摂取する上での注意事項」をよく読んで、上手に利用しましょう。

 

<特定保健用食品(トクホ)>

トクホと呼ばれる特定保健用食品は、健康の維持や増進に役立つことが科学的に示されている食品です。例えば「おなかの調子を整える」「血糖値を下げる」など、表示されている効果や安全性について、国が審査を行い、許可をしています。

 

<栄養機能食品>

栄養機能食品は、一日に不足しがちなビタミン13種類、ミネラル6種類、脂肪酸1種類の、計20 種類の栄養成分が、国が定めた一定の基準量で含まれている食品です。機能については、「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です」「ビタミンCは皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です」など、国の定めた表現で表示されています。

 

<機能性表示食品>

2015 年4月から機能性表示食品が、新たに加わりました。商品の販売前に、事業者が食品の安全性と機能性の根拠に関する情報などを消費者庁長官へ届け出ることで、表示することができます。トクホと違うのは、国が審査をしておらず個別の許可を受けていない点です。

 

 

食品の包装には、様々な表示があふれています。機能性を表示している食品であっても、病気の治療や予防を目的としたものではありません。表示を正しく理解する目を養い、毎日の食事に上手に活用し、健康の維持や改善に繋げていきましょう。

 

中神朋子(なかがみともこ)
東京女子医科大学糖尿病センター

 

次回は「糖尿病黄斑浮腫」を予定しています。

監修 内潟 安子 [ 創刊によせて ]
東京女子医科大学
糖尿病センター センター長

編集協力
岩﨑 直子、尾形 真規子、北野 滋彦、中神 朋子、馬場園 哲也、廣瀬 晶、福嶋 はるみ、三浦 順之助、柳澤 慶香
(東京女子医科大学糖尿病センター)
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