糖尿病について徹底解説。血糖値・HbA1cから
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糖尿病医療が日々進歩する中、患者さんがより質の高い治療を続けていくためには、医師をはじめ医療従事者全員で患者さんをサポートするチーム医療が功を奏します。今回は、患者さんの糖尿病療養を支援するサポーターにはどんな方がいるのか、どんな活動をしているのか、ご紹介します。

 

糖尿病治療は、食事・運動療法、飲み薬やインスリンの使用、血糖測定など、自分が「主治医」になって行うことが大半です。
しかし、よりよい治療効果を長く続けるためには、主治医は患者さんを中心に、様々な糖尿病治療の専門家とチームを組んで治療をサポートする「チーム医療」を進めることがキーポイントとなります。患者さん個々の考え方、仕事、家族などを十分加味し、患者さん自身が納得できる目標を立て、積極的に治療に取り組むことが非常に大切です。そのために、糖尿病患者さんに寄り添い、気持ちをくみ取りながら、医療従事者が一丸となって支援します。この取り組みは、確実に、患者さん一人ひとりの糖尿病治療を支える大きな力となっています。

 

では、具体的にどんな人達が、どのように患者さんをサポートしてくれるのでしょうか?その一部をご紹介したいと思います。

日本糖尿病療養指導士

糖尿病治療に最も大切な自己管理にたずさわってくれる医療スタッフです。日本糖尿病療養指導士は、生涯にわたる糖尿病の療養を専門的に支援する能力を身につけた方として、2001年に誕生しました。
日本糖尿病療養指導士とは、糖尿病とその療養指導全般に関する正しい知識を持ち、医師の指示の下で、患者さんに熟練した療養指導を行うことのできる方で、試験に合格した看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士に対して、日本糖尿病療養指導士認定機構が与える資格です。日本糖尿病療養指導士に認定されるということは、糖尿病の生活指導のエキスパートであるということを認められたことになります。2011年6月現在、認定資格者は全国に16,363人います。認定後は、引き続き最新の知識と技能を身に付けるため、実践と研鑽を重ね5年ごとの更新制となっています。
また、地域ごとの地域糖尿病療養指導士もあり、日本糖尿病療養指導士を補完する形で、地域の特色を活かして活動をしています。

 

病院スタッフのサポート

通常、診察時間は決して長くないですね。血糖管理や生活習慣、家庭・職場の問題、心配、悩みなど、主治医に話す時間がなかった、聞き忘れたなどということもあるでしょう。

 

糖尿病治療のサポーター

そのような時は、ぜひ、日本糖尿病療養指導士、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士など、病院のスタッフに相談してみて下さい。小さな相談にも耳を傾け、患者さんを支援してくれます。
フットケアや日常生活は看護師、食事の悩みは管理栄養士、薬の疑問は薬剤師、運動療法は理学療法士がよいかと思います(表1)。各専門分野の立場から一歩踏み込んだアドバイスをしてくれることでしょう。普段から、主治医以外の病院スタッフとコミュニケーションを取り、糖尿病治療のサポーターをひとりでも増やしておくことが大切です。

新しいスペシャリスト「ナースプラクティショナー」

海外では、医師と連携・協働して患者さんに対して、一部の医療行為まで拡大して行うことができるような教育を受けた看護師、「ナースプラクティショナー」がいます。日本でも、ナースプラクティショナー育成に、一部の指定大学で専門の教育が始まりました。将来、糖尿病の分野でも活躍が期待されています。

 

歯科医師

糖尿病は眼や腎臓以外にも様々な臓器に合併症が起こりえます。他診療科との連携が重要となりますが、最近では、歯科も注目される分野です。
よく知られている歯の病気である歯周病は、糖尿病と深い関連があり、合併症のひとつと言われています。日本糖尿病協会は、2007年に日本歯科医師会と連携して歯科医師登録医制度を作り、内科医と歯科医師の連携を強化しています。2010年1月現在、歯科医師登録医は全国に約5,000名います。歯科医は、歯や歯周病の治療中に患者さんが気付いていない糖尿病を発見することや、糖尿病でまだ治療を開始していない患者さんに治療を促すケースがあります。糖尿病は自覚症状が乏しい病気ですが、歯の病気は「痛み」や「腫れ」など症状が出るため、歯科医を訪れ、その結果、糖尿病の発見や治療の促進に繋がることも多いのです。
糖尿病患者さんは、ぜひ歯を大切にし、毎日の歯磨きや定期検診をしましょう。また、よくかんで食べることは、食後の高血糖を防ぐとともに糖尿病の進行を抑えることにも繋がります。

 

残念ながら、増加するすべての糖尿病患者さんに、専門医だけでは十分に対応できないのが現状です。そのため、糖尿病を専門としない非専門の医療機関でも、専門医と情報を共有、連携し、安心した治療を受けられるようにしています。
たとえば、普段は診療所(かかりつけ医)で診察を行い、かかりつけ医が入院や特別な検査・治療等を必要と判断した場合は、患者さんに入院設備や高度医療機器を備えた他の病院を紹介します。他の病院で治療や検査が行われ、病状が安定し、通院治療が可能になれば、再びかかりつけ医が診察にあたります。このように、病院と診療所(かかりつけ医)が患者さんの症状に応じて、役割や機能を分担しながら治療にあたることも多くなってきました。また、前述のように歯科医や眼科、整形外科などと連携を取ることもあります。多角的に患者さんのサポートができる体制を、地域ごとに作り上げているのです。

チーム医療は、医療機関の規模や地域によっても異なりますが、全国的に様々な体制で活発化してきています。よりよい血糖コントロールを維持するためには、患者さん自身の努力やご家族・友人の理解、そして様々な医療従事者のサポートを遠慮せずに借りて、快適な生活を手に入れて下さい。

 

中神 朋子(なかがみ ともこ)
東京女子医科大学糖尿病センター

 

次回のテーマは「低血糖と次世代インスリン」です。

監修 内潟 安子 [ 創刊によせて ]
東京女子医科大学
糖尿病センター センター長

編集協力
岩﨑 直子、尾形 真規子、北野 滋彦、中神 朋子、馬場園 哲也、廣瀬 晶、福嶋 はるみ、三浦 順之助、柳澤 慶香
(東京女子医科大学糖尿病センター)
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