糖尿病について徹底解説。血糖値・HbA1cから
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血糖値を直接的に下げることができる唯一のホルモンはインスリンです。心臓を動かしたり、呼吸をしたり、胃腸を動かすのに必要なホルモンは、すべて血糖を上昇させる作用があります。したがって、たとえ眠っている時間でも、血糖を上昇させるホルモンにうち勝つ様にインスリンは絶え間なく分泌され、血糖上昇を抑えています。これをインスリンの「基礎分泌」と呼びます。
さらに食事をすると血糖が急激に上昇し、インスリンはまた急峻に分泌されます。これを「追加分泌」と言います。糖尿病でインスリン分泌が低下している場合、このような生理的なインスリン分泌にできるだけ近くなるよう、様々なインスリン製剤を使ってインスリンを補充します。

 

  • 体の様々な細胞は、1日中エネルギーを消費し続けています。そのエネルギー源の多くはブドウ糖です。血糖値とはブドウ糖の血液中の濃度のことです。
  • エネルギー源は、主に肝臓や骨格筋などに蓄えられています。
  • どんなに安静にしていても、寝ている時も、体は心臓や胃腸を動かしたり呼吸をするために一定量のエネルギーを必要とします。そのため、エネルギー源としてのブドウ糖は絶え間なく血液中に放出されます。
  • インスリンの「基礎分泌」はブドウ糖の放出量と、体を維持するために必要なエネルギー量のつり合いを取って、血糖値を一定に保つように分泌されています。
  • 一方、食事をすると、吸収された食物は分解されて、血液中のブドウ糖となります。血糖値の上昇に対応して、すい臓からインスリンが分泌され、肝臓からのブドウ糖の放出を抑え、主に肝臓へのブドウ糖の取り込みを促します。これが「追加分泌」です。

患者さんごとに生活パターンが様々であるように、必要なインスリン製剤や単位数も様々です。それぞれの生活パターンに合うように、インスリン製剤を組み合わせることは、よりよい血糖コントロールにつながります。追加分泌を補うインスリンとして、超速効型や速効型インスリンを使うことが多く、基礎分泌を補うために、中間型や持効型溶解インスリンを使うことが多いです。また、超速効型、速効型と中間型の混合したタイプもあります。食事内容や運動によって、血糖上昇のパターンが変わります。

 

このような基本を踏まえ、インスリンの単位や種類を組み合わせて使う必要があります。

※食前に超速効型や速効型などのインスリンを使って、血糖の上がらない野菜などを先に食べると、低血糖を起こすことがあります。また、たんぱく質や脂質の多い食事だと、長く血糖上昇が続くため、中間型の入ったインスリンが必要となることがあります。

  • 血糖値の記録に、測定前の食事の時間や内容、運動量などを一緒に記載しておくと、自分の血糖値の変動を検証しやすくなります。
  • 分食や補食のタイミングも大切です。使っているインスリンがどの時間に効いているか考えてみましょう。
長い間インスリン製剤を使っていても、ご自身のインスリン分泌量が変わったり、生活の変化により運動や食事の量、質が大きく変動したりすると、今までのインスリン製剤が合わなくなることがあります。特に生活スタイルが変わった時(転勤、退職、運動サークルへの参加など)は、インスリン製剤を見直すよい機会です。自分の生活パターンを見極め、主治医に相談してみましょう。インスリン製剤を上手に活用して、よりよい血糖コントロールをめざしましょう。

 

 

東京女子医科大学糖尿病センター
尾形 真規子

 

次回は「再チェック、インスリン注射」をお届けします。

監修 内潟 安子 [ 創刊によせて ]
東京女子医科大学
東医療センター 病院長

編集協力
岩﨑 直子、尾形 真規子、北野 滋彦、中神 朋子、馬場園 哲也、廣瀬 晶、福嶋 はるみ、三浦 順之助、柳澤 慶香
(東京女子医科大学糖尿病センター)
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