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監修:順天堂大学大学院医学研究科 代謝内分泌内科学 教授 綿田 裕孝先生

心血管疾患リスクを理解しよう

心血管疾患とは

心血管疾患はおもに動脈硬化によって血管の内腔が狭窄し臓器への酸素を豊富に含んだ血液の供給が不足する疾患群です1。心血管疾患は以下の三つのカテゴリーすなわち、冠動脈疾患、脳梗塞、末梢動脈疾患を含みます2

それぞれの詳細は以下の画像をクリックしてご覧ください。

冠動脈疾患

心臓に栄養を供給する血管である冠状動脈が狭くなったり詰まったりして、心筋への血流が減少するのが冠動脈疾患です。冠動脈の狭窄により血流が不足し一過性の胸痛が生じるのが狭心症、冠動脈が閉塞または極端に狭窄しほぼ閉塞した状態になり心臓の筋肉が壊死する疾患が心筋梗塞です2。心筋梗塞では激しい胸部痛や冷や汗、嘔吐感などが15分以上続くといった症状が典型的です2

脳梗塞

脳の血管が動脈硬化や血栓などで閉塞し、その先の細胞が壊死する病気です2。脳梗塞は発症前に前触れとして一過性の脳虚血発作が出ていることがあります2。一過性の脳虚血発作では数分で症状が治ってしまいますが、発症した人の5%が48時間以内に脳梗塞を発症する可能性があります2

末梢動脈疾患

末梢閉塞性動脈疾患は、下肢に血液を供給する血管の動脈硬化による狭窄や閉塞により引き起こされます2。その結果、下肢の潰瘍や筋委縮を生じ、下肢切断を必要とするリスクも伴います。


心血管疾患に対する2型糖尿病の影響について

2型糖尿病で高血糖の状態が慢性的に続くと、血管の壁が損傷されコレステロールが蓄積します。この蓄積したコレステロールは血管内にプラークという塊を形成し、動脈の壁が硬化します3。プラークが長い年月をかけて蓄積することによって動脈の血液の流れる部分が狭くなり、血液が流れにくくなります3

 

動脈の血流が減少すると、酸素や栄養を豊富に含む血液が臓器や筋肉に十分に供給されなくなります4。このことによってその血管の部位により胸痛や下肢の萎縮などを生じます4

 

安定したプラークは被膜でおおわれていますが、被膜が破たんすると、プラークが血液に暴露され血栓を形成し血管内部を塞ぐことがあります3。このようにして血栓が血管を閉塞することにより、脳梗塞・心筋梗塞が発症します3

 

さらに、2型糖尿病の患者さんはほかの動脈硬化リスク因子を複数合併していることがあり、これらの合併は心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化を原因とする病気の発症リスクをさらに上昇させます5。この点についてさらに見ていきましょう。


2型糖尿病に関連する様々な因子のうち、心血管疾患リスクにも影響するもの

心血管疾患リスクを理解しよう


2型糖尿病で合併することの多い、心血管疾患リスクを高めるその他の要因について

詳細は以下のボックスをクリックしてご覧ください。

高血圧

高血圧が続くと、正常より高い圧力が血管の壁や心筋に加わり、動脈硬化の要因となります6,7

肥満

肥満した人は、高血圧、脂質異常症などを合併しやすくなります7。例えば、肥満が進むと収縮期、拡張期とも血圧が明らかに上昇します7

脂質異常

血液中のコレステロール値や中性脂肪値の異常である「脂質異常症」も強い危険因子です7。脂肪分のうち増えると動脈硬化を促すのは、総コレステロール、LDL(悪玉)コレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)、リポ蛋白[Lp(a)]、レムナントなどで、反対に減ると動脈硬化を進めるのはHDL(善玉)コレステロールです7

厚労省の発表によると「総コレステロール値は220mg/dl以上、LDL(悪玉)コレステロール値は140mg/dl以上、またHDLコレステロール値は40mg/dl以下」になると、狭心症や心筋梗塞の合併が増えるとされています7

喫煙

1日20本以上の喫煙者では、虚血性心臓病の発生が50~60%も高くなります7。喫煙は、がん、肺や消化器などの病気だけでなく、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈疾患といった動脈硬化性疾患の発症を促す強力因子です7

さらに悪いことに、喫煙はほかの危険因子にも影響し、総コレステロール値、LDL(悪玉)コレステロール値を高め、逆にHDL(善玉)コレステロール値を下げるため、二重のリスクをもたらすのです7

喫煙により血が固まりやすくなり、血栓症を起こす危険も高まります7。血管も収縮しやすい状態になります7。動脈硬化の予防・治療にまず禁煙が必要なのはいうまでもありません7


あなたは心血管疾患についてどのくらい知っていますか?


糖尿病患者さんのうち、心血管疾患で亡くなる方はどのくらいでしょうか?

糖尿病患者さんの約9人に1人が心血管疾患で亡くなっています8

心臓の健康と2型糖尿病の両方に気を付け、心血管疾患のリスクを減らしましょう。



【参考資料 3】

  1. 国立循環器病センター. “動脈硬化”. 循環病情報サービス.
    http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/disease/atherosclerosis.html(accessed 2017-9).
  2. 日本心・血管予防会. “心・血管病予防GREEN IVY運動”.
    http://greenivy.jp/what/index.html(accessed 2017-9).
  3. 糖尿病ネットワーク. “16.糖尿病と脳梗塞・心筋梗塞”.糖尿病セミナー.
    http://www.dm-net.co.jp/seminar/16/index.php#chap1(accessed 2017-9).
  4. 国立循環器病センター. “虚血性心疾患”. 循環病情報サービス.
    http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/disease/ischemic-heart-disease.html(accessed 2017-9).
  5. 国立循環器病センター. “糖尿病”. 循環病情報サービス.
    http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/disease/diabetes.html(accessed 2017-9).
  6. 日本心臓財団. “ハートニュース高血圧と心不全”.
    http://www.jhf.or.jp/heartnews/vol49.html(accessed 2017-9).
  7. 国立循環器病センター. “【21】動脈硬化”. 循環病情報サービス.
    http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/blood/pamph21.html(accessed 2017-9).
  8. 中村 次郎 他. 糖尿病の死因に関する委員会報告-アンケート調査による日本人糖尿病の死因-2001~2010年の10年間,45,708名での検討. 糖尿病. 2016; 59(9): 667-684.


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