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チャーリー キンボールさん

「私の糖尿病生活」第4回目はアメリカ出身のカーレーサー、チャーリー キンボールさんをご紹介します。チャーリーさんは、レーサーとしてデビューした5年後に1型糖尿病と診断されましたが、その後もレーサーとして活躍を続け ています。糖尿病とともに自らの夢の実現に向けて励んでいるチャーリーさん。どのように糖尿病と向き合っているのでしょうか。2011年9月に来日した際 に、お話をうかがいました。

ドクターの言葉が背中を押してくれた

私は2007年のワールドシリーズ バイ ルノー参戦途中に1型糖尿病と診断されました。当時私は22歳で、レーサーとしてデビューしてから5年後 のことでした。糖尿病と診断されたときに、「これからもレーサーを続けられますか?」とドクターに尋ねたところ、「できない理由なんてないよ」と、私の目 を真っ直ぐに見つめながら言ってくれました。さらに、「世界では1型糖尿病になってもさまざまな分野で活躍している人がたくさんいる」とも言われました。 その言葉に背中を押され、私はレーサーを続けようと決心しました。半年後に復帰した2008年のフォーミュラ3 ユーロシリーズのレースでは2位になり、 1型糖尿病の診断後、初めて表彰台に立つことができました。さらに2011年初めには、夢の一つをかなえることができました。糖尿病のレーサーとして初め て、インディ500*で好成績を収めることができたのです。そのレースはちょうど100年目の記念レースで、とてもいいチャンスに恵まれたと思います。

*アメリカのインディアナ州で開催され、その名の通り、500マイル(約800km)で争われる。第1回大会が1911年に開催され、今日まで非常に長い歴史と伝統を持つ。「F1モナコグランプリ」、「ル・マン24時間レース」とともに世界3大レースの1つに数えられる。
 

レース中の血糖管理

レース当日の朝、食事は炭水化物とたんぱく質に少量の脂肪、そして水分を十分に取るようにして、体調を整えます。レース中はコックピットでガッチリと体を 締め付けられていますし、タイムアウトもとれません。そういう状況でも血糖値を測定できるように、持続血糖測定システムを使用しています。そのモニターを ハンドルの中心に付けているので、レース中でも自分の血糖値を確認できます。一般のレーサーは自分のラップスピードやギアの状況を確認しながらレースをし ますが、私はそれらに加えて自分の血糖値も確認しながらレースをしているのです。どの程度血糖値の上がり下がりがあったかを気にかけながら、できるだけ安 定した状態でレースができるように努めています。レース中に万が一低血糖になったときのために、レースカーにはオレンジジュース等のドリンクが入ったボト ルを搭載しています。レース中はハンドルから手を離すわけにはいかないので、ボトルからヘルメットの中までチューブでつながっており、手を使わずに飲める ようになっています。これを飲めば血糖値は回復しますし、レースを続けることができます。そのドリンクを飲んでも血糖値が回復しない、また逆に著しい高血 糖状態になった場合は、ピットで適切な処置が施されるようになっていますが、そういう状況にならないようにいつも万全の体制でレースに挑んでいます。
 

持続血糖測定システムのモニターがハンドルの中心に設置されている。
 

糖尿病でもチャレンジし続けている人はたくさんいる!

糖尿病の人たちの中には一つのコミュニティというか、グループ意識があると思っています。人間関係に強いものがあって、一つのよいグループができあがって いるのではないかという印象を受けます。実際に私も糖尿病になってから世界中の人からさまざまなサポートを受けていますが、それらが私の自信につながった り、目標を達成するための後押しになったりしています。糖尿病の人たちがさまざまな分野で活躍しているということは、私にとってとても励みになっていま す。それぞれの糖尿病の管理の仕方に違いはあっても、共通していることがあります。それはチャレンジし続けているということです。
 

糖尿病と診断されたばかりの方へ

糖尿病という病気自体は簡単な病気ではないし、日常生活における課題があるのは事実です。そういう状況でも、何か本当に自分がやりたいことを見つけ、それ に向かって一生懸命努力すれば必ず成功するだろうと思います。私自身も、ただ単にレーサーとして活動していくだけでなく、糖尿病の人たちに対していろいろ な啓発活動をしていこうと思っています。たとえこういう病気になっても、自分が本当にやりたいことがあればその目標はかなえられるというメッセージを伝え ていこうと思います。自分の目標を見つけたら、糖尿病だからといってそれをあきらめてほしくはありません。ぜひ希望を持ち続けてほしいと思います。自分が やろうと決めたことを続けていくことはとても大切なことであり、またそうすることでサポートを得られることがあるということを、私は自分の経験から知って います。糖尿病を自分のライフスタイルに合わせながら、その人なりの人生を歩んでほしいと思います。
 

チャーリー キンボールさん プロフィール

2002年にレーサーとしてデビュー。2007年、ワールドシリーズ バイ ルノー参戦中に1型糖尿病と診断され、シーズン途中にしてレース活動中断を余 儀なくされる。しかし、6ヵ月後に参戦した2008年フォーミュラ3 ユーロシリーズのレースで2位となり、1型糖尿病と診断後、初の表彰台に立つ。 2009年から活動拠点をアメリカに移し、インディ・ライツ・シリーズに参戦。翌2010年には同シリーズでシーズンランキング10位という好成績を収め る。2011年からは、1型糖尿病のレーサーとして初めて世界最高峰レースの一つであるインディカー・シリーズに参戦し、その中心レースであるインディ 500にて好成績を収める。2011年9月、栃木県にあるツインリンクもてぎで開催されたインディジャパンに参戦するために来日。



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