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後藤 治人さん 【前編】

私の糖尿病生活」第2回目は、宮崎県にお住まいの2型糖尿病の後藤 治人さんをご紹介します。後藤さんは、病歴約40年、卒寿(90歳)も間近ですが、現在も会社経営や糖尿病支援活動を行なっていらっしゃいます。そんな元気な後藤さんの糖尿病生活を特集します。

※2011年7月現在

眼の異常で気がついた糖尿病

昭和49年頃ですので、37年前でしょうか。いつものように車を運転して会社へ出かけようとしたところ、センターラインが2本見えました。そう、 ずっと先まで2本見えました。「ええっ!これは大変だ!」と思い、すぐに車を置いて、眼科医院に駆け込みました。そこで先生に「片方の眼だとセンターライ ンは1本に見えるが、両眼でみると2本に見える」と症状を訴えました。先生に「後藤さん、糖尿病はないですか?」と聞かれましたが、その頃全く自覚はあり ませんでした。しかし尿検査をしたところ、案の定、尿に糖が出ていました。「うーん、これはいかんね。糖尿病だと思いますよ。糖尿病の専門の先生を紹介し ますから、まずそちらで診察を受けてください」と紹介状を渡されました。

ちょうど会社の経営、子どもたちの教育などで、大変忙しいときでした。朝から晩まで働き、夜は付き合いやら何やらで、毎日遅かったことを覚えていま す。近所の人には、私は12時前には帰らない人だなんて言われていました。糖尿病とか、健康なんて、考えているヒマがなかったときでした。

紹介された糖尿病の先生には、「経営が大事か?命が大事か?家族が大事か?よーく考えてみましょうよ」と言われました。それから「糖尿病は治りませ ん。一生続きます」とはっきり言われました。この宣告は、私にとって本当にショックでした。「なんで俺だけ!」とも思いました。

しかし、先生は助け舟も出してくれました。「私の言うように生活を改善すれば、よい状態を保つことができますよ」 そう言われたら、もうやるしかありません。そう強く思ったことをよく覚えています。
 

治療の思い出 『どこまで続く、ぬかるみぞ』

当時は20日間の教育入院というのがありました。とても辛かったことを覚えています。毎日毎日、糖尿病の勉強と血糖値検査です。血糖値検査は今より ずっと太い針で、かなりの痛みを伴うものでした。それに、糖尿病の治療は、目に見えた結果がすぐには出ないものなので、「もう、嫌だ!」と何度も思いまし た。
食事も単位やカロリーなど、最初は覚えるのが大変でしたが、いままでどれだけ制限なく食べたり飲んだりしていたのかが、よくわかりました。ともかく、必死でいろいろな勉強をし、元気になって帰ることを考えました。

教育入院後も、いろいろなことに耐えて頑張っても血糖値が悪いときがありました。「いったいどうなっているんだ、あんなに頑張ったのに!」と、本当 にうんざりしたこともありました。そんなときには昔覚えた軍歌を思い出し、歌ったものです。『どこまで続くぬかるみぞ 三日二夜は食もなく 雨降りしぶく鉄兜』という歌詞ですが、歌の内容のような辛さを思えば糖尿病のコントロールの辛さなど!と思いながら自分を励ましました。
 

ついに来た!インスリン治療

「インスリンを使いましょう」と主治医に言われたときには、「ついに来たか!」と思いました。やはり嫌でした。一生打たなければならないのだろうと 落ち込みました。主治医は「インスリンをずっと続ける人もいるけど、状態が良くなったらインスリンを止めて、飲み薬になることもある」と説明してくれまし た。そういう患者さんがたくさんいることは、私にとって一つの希望でした。ともかく、糖尿病のプロフェッショナルである主治医が勧めるのだから、それに 従ってみるしかないと思いました。

私がインスリンを始めた頃は、注射器でバイアルからインスリンを吸い取って使っていました。そのうちにペンやカートリッジが出てきて、それはもう本当に簡便になりました。技術や医学の進歩が、手間や負担をずいぶん改善してくれたことは、とてもよかったと思います。
 

糖尿病と診断されたばかりの方へ

強いショックを受けていると思います。しかし、落ち込むだけでは、前に進めません。誰にでも悩みはあります。病気だけでなく、家族や仕事、いろいろ あるでしょう。自分の手をつねってみてください。この痛みは自分にしかわかりません。誰かに頼ったり、何かのせいにしてもダメです。「面倒くさい!」、 「嫌だ!」だけでは何も解決しないのです。自分の病気は、自分でしかコントロールできないのではないでしょうか。

もちろん、主治医との連携は大切です。主治医はいわば糖尿病のプロフェッショナルです。自分にはない、彼ら専門家の知識や経験をどんどんお借りし て、自分の体を良い方向に持っていく。これが糖尿病の治療だと思います。辛いことも決して少なくはありませんが、必ず努力は報われる。辛いという思いにと どまっていないで、先に進みましょう。主治医に言われたのだからでなく、自分のために治療をすればいいのだと思います。そうすれば、糖尿病の人生は楽しく なる。私はそう思います。
 

後藤 治人さん プロフィール

2型糖尿病歴は約40年、現在、インスリン1日3回でコントロール中。
日本糖尿病協会発行の「さかえ」の編集委員、宮崎市にある平和台病院の患者会(はまゆう会)の会長などを務めた。
現在もご自身の会社の会長職をこなし、積極的に糖尿病患者さんの支援を行なっている。



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