糖尿病について徹底解説。血糖値・HbA1cから
インスリン治療まで、関連する内容が満載!サイト内検索


後藤 治人さん 【後編】

私の糖尿病生活」第2回目は、宮崎県にお住まいの2型糖尿病の後藤 治人さんをご紹介します。後藤さんは、病歴約40年、卒寿(90歳)も間近ですが、現在も会社経営や糖尿病支援活動を行なっていらっしゃいます。そんな元気な後藤さんの糖尿病生活を特集します。

※2011年7月現在

食事はまず眼で食べる

食事に関しては、教育入院の際に徹底的に教え込まれました。基本的な量はこのときに完全にマスターしました。私の場合、食事はまず眼で食べます。「これとあれを食べよう。これは残そう」と。家でも外食でも同じです。

正直、食材を生産してくれた方々、料理を作ってくれた方々には、残すという行為は大変失礼だと思う気持ちがとても強くあります。でも健康には代えら れません。家内にも、「残しても絶対に文句を言ってくれるな」と頼みました。外食で残すと「食べ散らかした」などと中傷されたこともありました。私は自分 の適量を食しただけなのですが、周りには誤解する方もいました。そのように言われるのは辛く、悲しいことでしたが、体のためと思って乗り越えてきました。
 

手軽な方法で健康管理

私の場合、体重と血糖値に関しては、毎日記録をつけています。小さなノートに数値を書き込みます。続けてもう10年になります。長く続けると、体調の全体 の流れが見えてきます。ちょっと体重が増えたと思うと、少し運動量を増やしてみたり、風邪を引いたときどうだったかとか、過去のデータを自分で管理すると 全体像が見えるのでよいと思います。今の若い方々ならパソコンでの管理も可能でしょう。自分の体調を客観的に、長期的に見ることは糖尿病では大切だと思い ます。
 

悔しかった思い出

私が糖尿病と診断されたころは、まだまだ糖尿病は正しく理解されていない時代でした。「糖尿病」とか「インスリンを注射している」、それだけで卑下 されたり、馬鹿にされたりしたことがたくさんありました。「あいつは糖尿病で注射ばっかり打っている」と言われたこともありました。仕方なくトイレでイン スリンを注射した悔しい経験もあります。でも今は世の中もずいぶん変わってきたと思います。

他にも悔しかった思い出があります。私の会社の従業員に糖尿病を放置したため足の親指を失い、ついには失明した人がいました。私なりに一生懸命治療 を勧めたつもりでした。私自身が、治療をすれば元気でいられる生き証人だと幾度となく説得したのですが、受け入れてくれませんでした。今でも彼のこと、彼 の家族のことを思うと胸が苦しくなります。
 

私の低血糖対処法

インスリンを始めるときに、主治医から必ず低血糖があるので、その感触を最初にしっかりつかむように言われました。お蔭様で私はひどい低血糖の経験 がありません。就寝中でも、ぽっと眼が覚めるときがあって、「あっ!ちょっとおかしいな」と思ったら、すぐにブドウ糖をとったり、ビスケットをかじったり すれば、それで大丈夫です。

低血糖は食事と運動の量の問題だと思っています。私の場合ゴルフの後はやはり運動量が多いので、低血糖が出やすいかなと感じています。経験則というのでしょうか。食事の量に対して運動量の多いときには注意する習慣が身に付きました。
 

左から二人目が後藤さん。ご自身の会社のゴルフコンペにて。

インスリンは私の命

糖尿病は自分の一部、一生切っても切れない関係です。そして、インスリンは私にとって「命」と同じです。これがなければ、体の調子が崩れ、病気が進行するのです。
今 回の東日本大震災で、改めてインスリンの重要性を感じました。いざというとき、インスリンをどのくらい手元に置いておく必要があるのか、主治医に相談しま した。命であるインスリンがなければ、私は生きていけません。自分の体は自分自身で守らなくてはと、つくづく思いました。
 

今後の活動と夢

元気な限り、糖尿病のために活動したいと思います。社会が糖尿病やインスリンについて正しい理解を持ってくれたら、糖尿病患者さんはもっと治療に積極的に なれるかなと考えることもあります。子どものころから病気やその治療の正しい知識があれば、大人になって病気の方に出会っても、偏見や誤解なく受け入れ、 サポートすることができるのではないかと思います。そんな社会に日本がなってくれたらよいと思っています。そのために、自分の体験が役にたつのなら、いつ でも、どこへでも、出かけていこうと思います。
 

糖尿病と診断されたばかりの方へ

強いショックを受けていると思います。しかし、落ち込むだけでは、前に進めません。誰にでも悩みはあります。病気だけでなく、家族や仕事、いろいろ あるでしょう。自分の手をつねってみてください。この痛みは自分にしかわかりません。誰かに頼ったり、何かのせいにしてもダメです。「面倒くさい!」、 「嫌だ!」だけでは何も解決しないのです。自分の病気は、自分でしかコントロールできないのではないでしょうか。

もちろん、主治医との連携は大切です。主治医はいわば糖尿病のプロフェッショナルです。自分にはない、彼ら専門家の知識や経験をどんどんお借りし て、自分の体を良い方向に持っていく。これが糖尿病の治療だと思います。辛いことも決して少なくはありませんが、必ず努力は報われる。辛いという思いにと どまっていないで、先に進みましょう。主治医に言われたのだからでなく、自分のために治療をすればいいのだと思います。そうすれば、糖尿病の人生は楽しく なる。私はそう思います。
 

後藤 治人さん プロフィール

2型糖尿病歴は約40年、現在、インスリン1日3回でコントロール中。
日本糖尿病協会発行の「さかえ」の編集委員、宮崎市にある平和台病院の患者会(はまゆう会)の会長などを務めた。
現在もご自身の会社の会長職をこなし、積極的に糖尿病患者さんの支援を行なっている。


管理番号:2515-1-0746-02