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食事と運動療法

監修:永寿総合病院
           糖尿病臨床研究センター センター長 渥美義仁 先生


食事療法って何をすればいいの?


糖尿病になったら、食べてはいけないものがあるって本当?

糖尿病になったら、厳しい食事制限をしなければいけないと考える患者さんが多いと思います。ところが、糖尿病になったからといって、食べられないものは何もありません。「食事療法」といっても特別なメニューがあるわけではなく、食べ物の栄養バランスと総摂取エネルギーを考えることが大切になります。
この食事療法の考えは、糖尿病のある方だから守らないといけないものではなく、本来健康なひとでも考えないといけないことなのです。

食事療法で気をつけないといけないことは?

栄養バランスと総摂取エネルギーを考えた食事とは、具体的にはどのようにすればいいのでしょうか?
炭水化物、たんぱく質、脂質の三大栄養素をバランス良くとり、ビタミンやミネラルなども欠かさずにとることが、糖尿病では大切な“治療”になります。

 

具体的な方法は、あなたが1日に必要なエネルギー量をかかりつけ医に決めてもらいます。
そして、実際に食品を選ぶにあたっては「糖尿病食事療法のための食品交換表」 (日本糖尿病学会) という表がよく利用されています。食品交換表では、ふだん食べているさまざまな食品が「80kcalの分量=1単位」として、栄養素別 (6グループ+調味料) に紹介されています。

例えば、ご飯1/2杯、りんご (中程度) 、鯛の切り身一切れ (80g) などは全て1単位になります。

医師から指示されている1日の総摂取エネルギー量が1600kcalの場合、1日20単位の食品と交換できますが、栄養素がかたよらないように表から選ぶことが大切です。
「食品交換表」には、代表的な外食メニューも載っています。目で見てカロリーや栄養素がわかるようになりましょう。
薬物療法を行っている場合、食事の量や食べるタイミングを間違えると低血糖になることがあるので、注意が必要です。

食事は一生楽しんでいきたいものです。季節の変化や好みを取り入れた献立作りや、上手な外食の仕方を覚えて、食事療法を豊かにしていきましょう。


運動療法って何をすればいいの?


運動療法は、食事療法と並んで糖尿病治療の大きな柱です。とはいえ、運動が苦手だったり、運動する時間がなかったりというひともいます。また、糖尿病の状態によっては、運動の制限が必要な患者さんもいます。

まずは、運動をしてもよい状態か、どんな運動が無理なくできるのか、あっているのかなど、かかりつけ医と相談をしてみましょう。

運動療法はどうして必要なの?

運動療法は、「血糖値を下げる」「体重が減る」「血液の循環が良くなる」など、たくさんのメリットがありますが、最大のメリットは「インスリンが効きやすい体になる」ことです。
肥満のある2型糖尿病のある方では、インスリンに対して筋肉細胞や脂肪細胞の反応が鈍くなっていますが、運動を続けることによってこのような状態が改善されます。
 

 

運動療法ではどんなことをすればいいの?

運動としては、酸素を十分に取り入れて、体全体の筋肉をつかう有酸素運動が効果的だといわれています。有酸素運動は、1回に20分から40分行い、週3回実施するとよいといわれています。無理なく、そして楽しくできる運動を生活に取り入れて、習慣にして長く続けることが大切です。
 

        有酸素運動の例

  • ウォーキング
  • 自転車
  • 水泳
  • ジョギング
  • ラジオ体操

運動する時間がない場合は、通勤のときに一駅歩く、外出中はなるべく階段を使う、といった工夫をしてみましょう。
 

運動療法で気をつけないといけないことは?

飲み薬 (経口血糖降下薬) やインスリン療法などで薬物療法を実施している患者さんは、運動中に低血糖になる可能性があります。自分の使用しているお薬について、低血糖の可能性をかかりつけ医に確認しましょう。また、必ずブドウ糖やジュースなどを持ち歩きましょう。運動する時間帯は、低血糖の心配が少ない食後に行うとよいでしょう。


【運動時の主な注意事項】

1型糖尿病のある方

  • 運動は食事の後1~3時間に実施しましょう
  • 運動量が大きい場合は、運動まえのインスリンを減量しましょう
  • 運動前・中・後に補食をしましょう
    (運動後の補食は、クッキー、牛乳などの効果が持続する食べ物がいいでしょう)

2型糖尿病のある方

  • 薬物療法を行っている患者さんでは、できるだけ食後に運動をしましょう
    (薬物療法を実施していない患者さんは、食事前に運動をしても構いません)
  • インスリン療法を行っている患者さんでは、運動前のインスリン単位を運動に応じて2/3から1/2に減量することが薦められていますが、具体的な単位についてはかかりつけ医へご相談下さい


【運動療法が禁止・制限される場合】

  • 糖尿病の代謝コントロールが極端に悪いとき (空腹時血糖値250mg/dL以上または尿ケトン体が中等度以上陽性)
  • 増殖前網膜症以上のとき (眼科医と相談する)
  • 腎不全の状態にあるとき (専門の医師の意見を求める)
  • 虚血性心疾患 (きょけつせいしんしっかん) や心肺機能に障害があるとき (専門の医師の意見を求める)
  • 骨・関節の病気を持っているとき (専門の医師の意見を求める)
  • 急性感染症 (例として、インフルエンザなど)
  • 糖尿病壊疽 (えそ)
  • 高度の糖尿病自律神経障害
  • その他、重症な疾患を合併している場合はかかりつけ医へご相談ください

 

糖尿病の検査と治療

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