大和田先生 土橋さんは内服薬で血糖値が下がらないということで来院されました。経過から見て、1型糖尿病が疑われたので検査した結果、1型糖尿病が判明しました。
土橋さん 先生は私が1型糖尿病と聞いてショックを受けないよう、言葉を選びながら説明してくださいましたね。1型と2型の違いや経口薬とインスリンの違いを糖尿病を洗濯機に例えて教えてくれました。健康ならインスリンの分泌は全自動だけど、機械がこわれてしまったので、今度は手動でインスリンを補わなくてはなりませんって。とてもよく分かりました。
大和田先生 1型糖尿病でインスリンが必要というお話をするのは、医師にとってもハードルが高いです。でも、土橋さんは「わかりました。すっきりしました!」とその場でご理解いただいたのが印象的でした。人によっては、泣き出したり、怒ったりする方もいらっしゃる中、後にも先にも「すっきりした!」と仰った方は土橋さん一人だけです(笑)。
土橋さん お話を聞きながら、私の気持ちを汲んでくれている先生の気持ちが伝わってきました。先生は私と病気に真剣に向き合っているのだから、自分も真剣に取り組まなくては!その想いに応えなくてはいけないと思いました。インスリンを打てば自分を助けられる、インスリンがあって良かったって思いました。
大和田先生 食事は楽しみの一つですが、糖尿病になると、食べるな、飲むな、そして運動、これでは、治療は続きませんよね。今までの生活をなるべく変えてほしくない、糖尿病だから云々という押し付けをしないことが大切だと考えています。土橋さんはとてもスリムですが、甘いものが大好きで、それが楽しみとのことだったので、インスリンの調整だけでなく、栄養士さんにも加わってもらい、カーボカウント※を導入していただきました。
土橋さん 私、新しい物好きなんです(笑)。不思議なことに同じものを食べても朝、昼、晩だけでなく、夏と冬でも血糖の変動が違うんですね。トライ&エラーで色々なことがわかるのが楽しいです。自分の食べたいものを食べるためにはどうすればいいのか、自分の体のことですからね。おかげで食べる物のことでストレスはありません。
小松管理栄養士 本当に土橋さんはご自分で色々と勉強されていて、教える事より質問される方が多いくらいです。最近は、新商品や食事の話題について、色々な情報が錯綜しているので、私も日々アンテナを張っています。あれ知ってる?どうなの?と聞かれた時には、その場で安易に答えずに、土橋さんにとって合っているのか?成分などを詳しく調べてから、お答えするようにしています。常に情報をアップデートするのは大事ですね。
大和田先生 私は患者さんの本当の主治医は患者さん自身で、医師やスタッフはアドバイザーだと思っています。ご本人が願う生活を専門知識でサポートするのが私たちの務めではないでしょうか。病院は薬をもらいに来るところではなく、説明を聞くところだと思いますよ。よりよい血糖管理を続けるために、納得していただくことが大切だと思っています。
土橋さん いつでも先生方に相談できる安心感があります。何かあってもきっと解決できる、そう感じるんです。大好きなケーキを食べたら、1時間歩こうって。同じ1時間ならゴロゴロするより、歩けば消費できるし、洋服のサイズも変わらずにいられると思ってます(笑)。
大和田先生 そういうポジティブな考え方、とても良いと思いますよ。診断してから、かれこれ18年、合併症も全くありませんね。
土橋さん 先生方との出会いが良かったのだと思います。信頼できたことで病気に真剣に取り組むことができました。
小松管理栄養士 本当に立派にご自身の管理をなさっています。色々な糖尿病のある方のお手本の一人として、これからも一緒に勉強させていただきたいと思います。
大和田先生 良い相互作用、いや相乗作用ですね。これからも一緒に一つひとつ、積み重ねていきましょう。
※炭水化物から食物繊維を除いた糖質をカウントして、糖尿病の食事療法に役立てる方法