粟﨑先生 1日4リットル以上水分を摂っても喉の渇きが取れず、嘔吐もあると、夏の夜間の救急で出会ってからもう10年になりますね。点滴している間に血液検査で高血糖を見つけ、すぐに入院してもらいました。
小野寺さん ひどい夏バテかと思っていましたが、あの時、先生に糖尿病を見つけてもらって、本当にラッキーだったと思っています。とりあえず入院と言われて、正直自分は危ないのかと心配しました。それから2週間の入院で糖尿病やその治療について色々学びました。インスリンをすぐに始めましたが、ご飯を食べる前に何かをする習慣がなかったので、最初の頃はよくインスリンを打ち忘れて、食事をはじめてから「アッ」って言うことも何度かありましたね(笑)。家族や友人に自分の病気のことを話しておくことも大切だと聞いて、入院中に見舞いに来てくれた友達にも話しました。
粟﨑先生 周囲に病気のことを話しておくことは治療をスムーズに進める大前提なのですが、本当にそれを言えるかは別問題です。なかなか話せない方もいます。
小野寺さん 何かあった時に、「何で話してくれなかったの!」と言われたくないなと思ったのも、話しをした理由のひとつです。
粟﨑先生 賢い選択だと思いますよ。周囲が知っていたからこそ助かったこともありましたね。
小野寺さん 東京で友達の結婚式に出て、二次会でゆっくり食事をしようと思っていたのですが、インスリンの量と食事のタイミングがうまく合わなくて、「救急車・・」と言って低血糖で倒れました。友達がすぐに救急車を呼んで、救急隊員さんに「糖尿病です。インスリン使ってます。」って説明してくれたそうです。自分は気を失っていましたけどね(笑)。段取りが良かったのは友達のおかげです。
粟﨑先生 一所懸命、頑張っているのに、血糖管理がうまくいかず、低血糖だけでなく、ケトアシドーシスも経験していたので、インスリンポンプによる治療を提案をしました。
小野寺さん おかげでだいぶ血糖値も安定してきました。先生は新しい薬や器械など、いち早く情報をくれます。何でも率直に言ってくれるので、自分も思っていることを言いやすいです。どうしたら良いか尋ねれば、こうしたらという応えがすぐに返ってきます。でも、実際に何かを実行するのは自分自身です。まだまだ自分にできることがあるのかもしれない!そう思って頑張っています。
粟﨑先生 小野寺さんはフランクだし、嘘は言いません。だから私も一所懸命応援したくなりますね。今はまだ血糖管理がうまくいかない時もありますが、これからもっと器械を使いこなして、自分の生活スタイルに合うようにしていければと思います。器械も薬も進歩し続けているから、もっと簡単に血糖管理ができる日がすぐそこまで来ているかもしれませんね(笑)。
小野寺さん 何だか楽しみです。やっぱり自分が頑張らないと、困るのは自分自身ですからね(笑)。
粟﨑先生 そうそう、困難にぶつかって立ち上がるしかないし、行動しないと状況は変化しません。思っているだけでは始まらないので、行動してくださいね。いつか、夢のような治療法ができて、糖尿病は過去の病気!そんな風になっていたら良いですね。
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困難を一緒に乗り越えてきたから次は新しい夢も一緒に
No.7
小野寺 勝之さん
劇症1糖尿病をインスリンポンプで治療中。飾らぬフランクな人柄は誰もが認める好青年。期待を胸に2020年3月から新天地での生活を始めた。良い報告を沢山抱え、粟﨑先生に会いに行くのが楽しみ。
粟﨑 博先生
さくら内科 糖尿病クリニック(秋田県秋田市)院長
日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・指導医
光あふれるクリニックで、明るく、快活に診療中。「病気は仕方ないけど、事故は防げる。」をモットーに、病に苦しむ患者さんを勇気づけ、元気を与え、見守ってくれる先生。
左から粟﨑先生、小野寺さん
監修
東京女子医科大学 糖尿病センター 内科
教授・講座主任
馬場園哲也
編集協力
北野滋彦、中神朋子、三浦順之助、柳澤慶香
アイウエオ順
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