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マイベストパートナー

慣れ合いでない、程よい距離感こそが良きパートナー

No.9

山本先生 濱口さんと最初にお会いした時は、ずいぶん体格の良い方がいらしたなあと思いました。学生時代から相撲をなさっていて、全国大会での優勝歴もあると伺って納得しました。

濱口さん 2型糖尿病と分かったのは、ちょうど相撲を辞めた35歳の頃でした。父も糖尿病で透析をしていたので「わしの二の舞になるな」と言われました。あれからもう35年、良い時もあれば、悪い時もありました(笑)。治療に関しては、先生は検査結果と自主性に重きを置いて、相談にのってくださいました。先生が言われるように、食事と運動療法は自主性が大切、検査結果はうそをつきませんね(笑)。検査値が悪くなるのは簡単ですが、一度悪くなると、改善するのが大変です。自分のためにも、そして先生をがっかりさせないためにもと努力しました。

山本先生 今思うと濱口さんは何でも正直に話してくれました。「孫が来て暴飲暴食しまくりました!」とか(笑)。検査値の変動の理由をお互いに理解し合え、その経験を蓄積してきたのだと思います。私が那智勝浦町立温泉病院に移動することが決まった頃、ちょうど濱口さんもスローライフを求めて、出身である那智勝浦町に転居を計画されていました。

濱口さん 偶然ですが、びっくりしました(笑)。元々診てもらっている先生が、転居先の近くに来てくれるのだから、続けて診ていただくのが一番と思いました。

山本先生 濱口さんはスポーツマンらしく、ご自身のお考えがしっかりある方です。何事も一つひとつ納得して、今日まで来られました。腎臓の機能が低下したので、透析も視野に入れて治療をしてきました。少しでも透析の導入を先に延ばしたいと考え、いろいろ努力していただきました。

濱口さん 低たんぱく食や減塩の食生活など、家族の協力も得ながらがんばりました。クレアチニンや尿素窒素などの検査結果の変動を、先生と一緒に一喜一憂しながら見てきました。

山本先生 慣れ合いの状態ではなく、ほどほどの良い距離感が信頼関係に繋がったように思います。その時が来たら、お互いに納得して、透析を受け入れようと思っていました。濱口さんの努力の結果、1年8か月以上透析導入を延ばせたと思っています。事前に透析室の見学にも行っていただきましたね。やはり、スポーツマンシップ!正々堂々、正面から色々な困難を乗り越えてこられたと思います。

濱口さん 足裏のいぼの治療、視力の低下で免許更新が遅れたこと、色々ありました(笑)。先生の仰るように、透析の時期が来たのだと思います。透析が始まり、通院は腎臓内科が主になりましたけど、月に1回は先生の診察がありますので、これからも今まで通り、関わってほしいなと思っています。

山本先生 僕はこれらも透析以外の合併症のフォローを責任を持って続けます。安心して来てもらいたいなと思います。治療は山あり谷ありですからね。それから、ここ那智勝浦は風光明媚なところです。せっかくこの地に戻っていらっしゃったのだから、ぜひ濱口さんの経験とパワーを存分に発揮して、地域に花を咲かせていただきたいなと思います。

濱口さん ここは自然も温泉も、そして落差日本一の那智の滝もある良いところです。先生にはこれからも引き続き、私を見守ってほしいと思っています。

濱口 泉さん
2型糖尿病歴35年、インスリンで治療中。2021年2月から透析を開始したばかり。相撲は全国大会で優勝歴もある実力派。現役引退後も審判など相撲界のサポートを続けた。仕事も一段落したところで那智勝浦町に帰郷し、現在、憧れのスローライフを実践中。

山本 康久先生
那智勝浦町立温泉病院 院長
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・糖尿病研修指導医 日本内科学会 認定内科医
日本プライマリ・ケア連合学会 プライマリ・ケア認定医・指導医

「継続は力なり!」と患者さんの日常生活とその思いに寄り添いながら、長い目で診療を続ける。温暖で雄大な自然に恵まれた町で皆さんの健康を見守る院長先生。

 

左から山本先生、濱口さん

監修
東京女子医科大学 糖尿病センター 内科
教授・講座主任
馬場園哲也

編集協力
北野滋彦、小林浩子、佐伯忠賜朗、中神朋子、花井豪、三浦順之助、柳澤慶香
アイウエオ順

 

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