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ぺん・くらぶ

様々なインスリン製剤と注入器

No.1

インスリン療法中の皆さんは、ご自分が使用しているインスリン製剤の特徴をご存知でしょうか?インスリンには作用時間や注入器の形態が異なるものがあります。今回は様々なインスリン製剤の特徴について概説します。

生理的なインスリン分泌とインスリン療法

生理的なインスリン分泌には、生体の機能を保つために1日中少しずつ分泌される基礎分泌と、食事による血糖値の上昇に対応する追加分泌の2つがあります。同じ糖尿病でも患者さんごとにインスリン分泌の状態が異なります。できるだけ本来のインスリン分泌が再現できるように、様々な特徴をもったインスリン製剤が開発されてきました。

インスリン製剤の種類

インスリン製剤は、作用が発現するまでの時間や、持続時間などによって6種類に分類されます。詳細は製剤ごとに異なりますので、主治医にご確認ください。

基礎分泌を補うためのインスリン:持効型溶解と中間型インスリン製剤
作用が緩徐に発現し、持続時間が長いのが特徴です。

追加分泌を補うためのインスリン:超速効型と速効型インスリン製剤
作用のピークが速く、持続時間が短いのが特徴です。主に食事前に注射します。

基礎分泌+追加分泌:配合溶解と混合型インスリン製剤
配合溶解インスリン製剤は超速効型インスリンと持効型溶解インスリン、混合型インスリン製剤は超速効型または速効型インスリンと中間型インスリンを混合したものです。追加分泌と基礎分泌の両方のインスリンを一緒に補います。

インスリン製剤と注入器

インスリンにはインスリン製剤と注入器が一体となった使い捨てできるプレフィルド/キット製剤、専用のペン型注入器と組み合わせて使用するカートリッジ製剤、インスリン専用シリンジ(注射器)で吸引したり、インスリンポンプ等で使用するバイアル製剤などがあります。

インスリン製剤の特徴を知ることで、日常生活またはシックデイや災害時など特殊な状況下で、どのようにインスリン療法を行うべきかの理解が深まると思います。
現在でも様々なインスリン製剤の開発が進行中です。糖尿病の状態や生活スタイルに合わせ、インスリンを上手に活用して、血糖管理をしっかり行いましょう。

参考:
日本糖尿病学会編・著:糖尿病診療ガイドライン 2016:6 インスリンに よる治療 123-145, 2016
日本糖尿病学会編・著:糖尿病治療ガイド 2018-2019:6 薬物療法 61- 67, 2018
糖尿病リソースガイド インスリン製剤・インクレチン関連薬・SGLT2阻害薬 早見表2018

小林浩子
東京女子医科大学 糖尿病センター 内科

監修 [ごあいさつ]
東京女子医科大学内科学講座糖尿病・代謝内科学
教授・基幹分野長
馬場園哲也

編集協力
大屋純子、小林浩子、中神朋子、花井豪、三浦順之助
アイウエオ順

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