糖尿病治療の変革を支えた真理と人を愛する人 アウグスト クロウの心の軌跡　第1章

デンマークの生理学者アウグスト クロウが生理学の研究をスタートしたのは、素晴らしい師との出会いがきっかけでした。その師は、ノーベル賞に2度ノミネートされたこともある世界的に有名な生理学者クリスティアン ボーアです。

ボーアはクロウの才能を見いだし、未来の優秀な働き手および相棒として、学位を取得する前の彼を研究所に招きます。クロウはボーアの助手として指導を受けながら、当時注目されていた科学的疑問の解明のため、熱心に研究に取り組みました。

クロウの優れた実験技術や実験と仮説を結びつける能力は重宝され、「ボーア効果」と呼ばれる現象を明らかにするなど、二人は想像力豊かな研究を続けました。しかし、やがてクロウは、師のもつ理論と相反する実験結果にたどりつくことになります。心から尊敬する師との信頼関係と、目の前の真実との間で、クロウが導き出した結論とは？