糖尿病で使用する注射薬は、高温になったり、凍らせたりすると、成分が変化してしまい、効果の出方が変わることがあります。暑い時期や場所で適切に保管する方法や、寒いところで凍らせない工夫など、具体的な保管方法をご紹介します。
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注射薬の保管方法
No.6
使用開始前と使用開始後では保管方法が違います。
- 注射薬はそれぞれ保存方法、使用期限や使用開始後の使用可能日数が異なります。
- ご自分の使っている注射薬の保存方法、使用期限と使用可能日数を、改めて確認しておきましょう。
保管するときは凍らないように注意
冷蔵室内でも、直接冷風が当たると製剤が凍ることがあります。冷風の当たらない場所に置くようにしましょう。
おススメの保管場所と保管方法
- ドアポケット
- バターケースや玉子ケース
- 外箱入りならそのまま保管 (使用期限が記載してあります)
上記の場所でも、一緒に入っているジュース等の液体が凍っていたら、注射薬も凍った可能性があります。
使用開始後の保管方法は製剤ごとのルールに従って
それぞれの製剤の保管方法に従いましょう。また、使用日数にも注意し、使用可能日数を過ぎたものは廃棄して下さい。
暑い時期の持ち歩きの工夫
高温にならないように、また夏でも凍らないようにする工夫が必要です。
工夫例
- 保冷剤は冷蔵庫で冷やす(冷凍庫で凍らせた保冷剤では注射薬が凍る場合があります)。
- 注射薬をタオルでくるみ、保冷剤と一緒に厚みのある袋(保冷バッグなど)に入れて
持ち歩く。 - ペットボトルの冷たい飲み物と一緒に注射薬をバッグに入れる。
- 注射薬をビニール袋に入れ、濡らしたタオルで包む。
- 保護と保温を兼ねたケースなどに入れる。
身近にある高温になりやすい場所
- 窓際
- プールサイドや海辺
- アスファルト
- 車
寒い時期や寒冷地での凍らない工夫
直接、外気に触れないように気をつけましょう。
- タオルに包んで持ち歩く。
- 身につける場合には、上着の内ポケットに入れる (外側のポケット内だと凍ることがあります) 。
- 携帯カイロや暖房器具に直接あたらないよう注意しましょう。
- 飛行機では、機内に持ち込む (手荷物として預けない) 。
停電や災害の時は?
- 停電時には、冷蔵庫を出来るだけ開けないようにして、温度が上がるのを防ぎましょう。
- 震災時など温度管理が難しい時は、自分の身につけて持ち歩きましょう。
糖尿病の注射薬が暑くなりすぎたのではないか?凍ってしまったのではないか?ヒビが入ったのではないか?と不安に感じた場合は、新しい製剤に取り換えて使用しましょう。
東京女子医科大学 糖尿病センター
尾形 真規子
次回は「シックデイとインスリンの調節」をお届けします。
監修 内潟 安子 [創刊によせて
]
東京女子医科大学
東医療センター 病院長
編集協力
岩﨑 直子、尾形 真規子、北野 滋彦、中神 朋子、馬場園 哲也、廣瀬 晶、福嶋 はるみ、三浦 順之助、柳澤 慶香
(東京女子医科大学糖尿病センター)
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